江戸のデザイン(1) - 御あつらへ三色弁慶 - 浮世絵ぎゃらりぃ
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江戸のデザイン(1) - 御あつらへ三色弁慶

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御あつらへ三色弁慶

歌川豊国(三代)画/万延元年(1860)/大判三枚揃い (当サイト所蔵)

御あつらへ三色弁慶/歌川豊国(三代)

初めてこの浮世絵を目にしたとき、大変な衝撃を受けました。
鮮やかなグラデーションの格子柄を背景に、ポーズを決める三人の役者たち。なんてカッコイイ、そしてなんてモダンなデザイン!
ぜんぜん古さを感じないどころか、そのまま現代のポスター画にしてもおかしくないほどのこの絵が、今から150年以上も前の江戸時代に描かれていたなんて。
それまで浮世絵に対して「昔の古くさい絵」とか「奇妙なデフォルメ画」くらいにしか思っていなかったのが、そんなネガティブなイメージはいっぺんに吹き飛びました。
なるほど、浮世絵が芸術品といわれるのも、こういう絵を見ればたちまち納得できます。19世紀の印象派の画家たちが衝撃を受けたのも無理はありません。
150年を経ても全く色あせないどころか、新鮮ささえ感じさせるハイレベルなデザインセンス。
しかも版画です。手描きではなく版画。
これはまさに日本が誇る一級の芸術品だと思います。

▲バックのやや太目の格子柄は「弁慶格子」といいます。3色のグラデーションによる弁慶格子で、表題の「三色弁慶」とかけているわけですね。

▲見てください、この粋でカッコイイ立ち姿!

▲髪の生え際の細かさに注目。耳が「透けて」いるのも分かりますね。なんとも細かい仕事ぶりです。

▲ものさしを当ててみるとご覧のとおり。一本一本の間隔は、だいたい0.2mmくらいでしょうか。これを版画として「彫る」わけですから、まさに驚愕です。

▲「から摺り」という技法で、うちわの骨の凹凸まで表現するほどの凝りよう。いやはや…。

▲片袖脱いだ着物の、ダブっとした皺の表現なんかも実に自然で上手いですよね。
着物の柄も手抜きせず、ちゃんと皺にあわせて歪めたりずらしたりして描いていますね。刺青の細かい点描といい、これらをすべて版画で…考えただけで気が遠くなります。

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