印象派と浮世絵 (2) - 浮世絵の影響力 - 浮世絵ぎゃらりぃ
浮世絵ぎゃらりぃ

印象派と浮世絵 (2) - 浮世絵の影響力

スポンサーリンク

印象派と浮世絵の関係

ところでゴッホは、なぜこんな風に浮世絵の模写なんかしたのでしょうか?

単なる日本びいき?

いえいえ、とんでもない。
ゴッホだけではありません。モネ、マネ、ドガ、ルノワール、ピサロ、ゴーギャン、ロートレック。
印象派を代表するこれら画家たちは、みな浮世絵の影響を大きく受け、浮世絵に学ぶことによって新たな絵画の可能性に目覚めていったという共通点を持つのです。

そのきっかけは、19世紀後半のフランスはパリを中心として、ヨーロッパ各国で開催された万国博覧会でした。
浮世絵を中心とした日本の美術工芸品が大々的に紹介され、大変な日本ブームを巻き起こしたのです。
人々は争って日本の美術品を求め、やがて浮世絵や伊万里を持つことが上流階級のステータスとされるまでになったのです。

それまでヨーロッパでは絵画といえば、戦争画や宗教画、貴族の肖像画ばかりでしたから、庶民の日常をのびのびと描く浮世絵の自由な画風や明るい色彩、大胆な構図は、ヨーロッパの人々には大変な驚きだったのです。「こんな絵があったのか!」と。

なにより大きなショックを受けたのは若い芸術家たちでした。
いつの時代もそうですが、若い芸術家というのは伝統的なものに対して反発し、そのエネルギーが次の新しい芸術を生み出す原動力へとつながってゆくものです。
後に印象派と呼ばれる、パリの若い芸術家たちもそうでした。
彼らは皆、サロン絵画の古臭いセンスに飽き飽きしていて、いつも息苦しさと、新しい芸術への飢餓感を感じていました。

そこに出会ったのが日本の浮世絵です。
皆、夢中になってこれに飛びつきました。
ゴッホのようにそっくりそのままではないにしても、同じように浮世絵をお手本にしながら研究し、伝統絵画から脱却した新しい芸術を生み出そうと努力したのです。

そうして誕生したのがいわゆる「印象派」でした。

そう、印象派はまさしく日本の浮世絵が生み出したものなのです。

よく「浮世絵は印象派に影響を与えた」といわれますが、正確にはそれは正しくありません。
影響を与えるもなにも、ヨーロッパには(浮世絵到来以前に)印象派そのものが誕生していなかったのですから。

正しくは、「浮世絵は19世紀の若い画家たちに」影響を与え、その結果として「印象派が誕生した」のです。だから、浮世絵は「印象派の生みの親」というのが正しい認識です。

アメリカのメトロポリタン美術館、シカゴ美術館、ボストン美術館はどれも印象派のコレクションが充実していることで有名です。
これら美術館の印象派コーナーに立って、展示されている印象派の絵をぐるっと眺めていると、ヨーロッパの絵画でしかも油彩画なのに、なぜかどことなく日本風というか、浮世絵っぽい不思議な感覚を覚えます。
まるで浮世絵の子供たちのよう。「浮世絵のDNAを引き継いでいる」という感じでしょうか。

そしてさらにそのDNAを引き継いで、アール・ヌーヴォーという次の和風芸術が後に誕生することになるのです。
ビートルズの登場で世界の音楽が大きく変わったように、日本の浮世絵はヨーロッパ絵画を根底から変えてしまうほどの影響を与え、印象派に始まる近代芸術の大きな流れを形作ったというわけです。

残念ながら、浮世絵の生みの親である日本人自身がこの事実をあまり知らないのですけどね。

スポンサーリンク