印象派と浮世絵 (4) - ルノワールのジャポニスム - 浮世絵ぎゃらりぃ
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印象派と浮世絵 (4) - ルノワールのジャポニスム

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ルノワール

さて、つづいてルノワールの作品を見てみましょう。

シャルパンティエ夫人とその子供たち

ルノワールがまだ世に認められていなかった頃、彼を評価してくれた数少ない理解者のひとりがジョルジュ・シャルパンティエ氏で、この絵はその夫人と子供たちを描いたもの。これはルノワールがようやく世間に認められるようになる、そのきっかけとなった絵でもあります。
で、これは一見なんでもない絵のように見えますが、よーく見ると背景に日本風のすだれや絵が飾られていたりして、当時の上流家庭への日本美術の浸透ぶりがうかがえますね。
でも、この絵で大事なのは実はそこじゃありません。そうではなくて、全体の明るい色調の方に注目してもらいたいのです。
現代のわれわれが見ると、「この絵のどこが特別なの?」と思ってしまうくらいあたりまえの描画なんですが、実はこのような明るい色使いは、当時のヨーロッパ絵画ではきわめて特殊なものだったんです。
次の、マネの「エミール・ゾラの肖像」と比べてみてください。

エミール・ゾラの肖像

全然明るさが違うでしょ?
ヨーロッパの伝統的な写実主義、明暗法だとこんな暗い色調になるんです。
ルノワールの作品がいかに明るくて華やかな色使いか、こうして比較して見るとよく分かると思います。

ちなみに余談ですがマネのこの作品、有名な「笛を吹く少年」がサロンで酷評されたとき、ゾラだけが浮世絵の技法を取り入れた新しい試みであると高く評価してくれた、その返礼として描かれたものです。
絵自体は伝統的な手法で描かれていますが、背景にはさりげなく相撲錦絵(二代歌川国明「大鳴門灘右エ門」)が配されています。

で、ついでにその「笛を吹く少年」なんですが、これも言われないと浮世絵の影響を受けてるなんてこと、普通はわかんないでしょうね。

笛を吹く少年

この絵の場合、平坦な色調と陰影を抑えたことで画面全体を浮世絵版画のような平面的な描写にしようとした努力がうかがえます。ズボンのラインをうまく使って、さりげなく浮世絵風の「ふちどり」っぽくしてありますね。しかし、まだ完全には伝統絵画から脱却できてはいないようです。
まあ、伝統的な写実描写から浮世絵風の描写に脱皮しようとする過渡期といいますか、実験段階のものと見ていいと思います。

ついでですから、マネの作品についてもう少しつづけて見てみましょう。
伝統絵画から印象派絵画への変遷の様子がよくわかりますので。

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